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置などを行う時は事前に説明してほしい」(いずれもP<0.01)であった。その中で「施設の使い方・きまりについて説明を受けたい」は、経産婦がそう思う傾向が有意に(P<0.01)高く、それ以外は初産婦が有意に希望が高かった。
2)。出産についての態度の施設別、学歴別、初・経産別結果を表8に示した(表8)。全体では平均値の高い順に「方針や処置について医師や助産婦にまかせたいと思っている」3.87。「自分の希望を伝え夫・家族に思うような協力がえられている」3.75、「希望がかなうよう自らの準備を進めている」3.54、「自分の希望を医師や助産婦に伝えている」3.05と出産についての態度にそう思う傾向がみられた。全体で特徴的な事は、前の3項目は、3.50以上あるのに対し、最後の「自分の希望を医師や助産婦に伝えている」は、3.05とどちらとも言えないに近い値であった。これは、医療関係者に対して自分の考えを行動しているかを直接問う項目である。施設別にみると、助産所と病院および助産所と診療所間で助産所が有意に(p<0.01)高く、希望を伝えていた。
学歴別では、「自分の希望を伝え夫・家族に思うような協力がえられている」「希望がかなうよう自らの準備を進めている」の2項目で、短・大卒が有意に高く(2項目ともP<0.01)そう思う傾向にあり、「方針や処置について医師や助産婦にまかせたいと思っている」が短・大卒が有意に低く(P<0.01)まかせたくない傾向にあった。「自分の希望を医師や助産婦に伝えている」では、両者とも低く差は認められなかった。
一方、初・経産別では「自分の希望を伝え夫・家族に思うような協力がえられている」は初・経産婦ともそう思う(平均値3.75)に近い回答をしているが初産婦のほうが有意(p<0.01)に高かった。「自分の希望を医師や助産婦に伝えている」は、初・経産婦ともにどちらとも言えない(平均値3.05)に近いが経産婦のほうが有意(p<0.05)に伝えていた。しかし「希望がかなうよう自らの準備を進めている」3.54、「方針や処置について医師や助産婦にまかせたいと思っている」3.86では、初・経産別に差は認められなかった。
「自分の希望を医師や助産婦に伝えている」の関連項目で、医療者に考えていることがいえるかを表9に示した(表9)。全体で、「はい」は医師に対し957名(48.1%)、助産婦・看護婦に対し1140名(58.3%)であった。助産婦・看護婦の方が医師よりも有意に(P<0.01)高く、考えていることが言いやすい事がわかった。どちらとも言えないが医師(38.7%)、助産婦・看護婦(30.9%)ともほぼ1/3を占めた。また、その理由について多い順に、「質問にていねいに答えてもらえる」481名(29.8%)、「いろいろ話をきいてもらえる」426名(26.4%)、「忙しそうで言えない」351名(21.7%)であった。

 

8. 仮説8:(分娩経験の有無により、分娩環境・分娩方法・分娩に携わる者に対するニーズが異なるであろう)
出産施設の選択理由では、初産婦は「評判がいい」(P<0.01〕、経産婦は「自分の考えているお産ができる」(P<0.01)、「入院施設が充実している」(P<0.05)で有意差がみられた。また、出産時に過ごす部屋の設備や環境の希望は、「ベッドやシーツ類が清潔で心地よい」「シャワーやお風呂がある」の項目で初産婦が有意(P<0.01)に高かった。出産する部屋の希望は、初産婦は「ベッド」、経産婦は「分娩台」「たたみ」で有意差(P<0.01)がみられた(仮説1の結果参照)。
また、分娩方法に対するニーズは「なるべく何もしないで自然に」が経産婦の方で有意(P<0.01)に高かった(仮説2の結果参照)。
さらに、経産婦の過去の出産時処置の有無別と今回の処置についての考えでは、過去に処置を受けた者は、全ての処置の項目(浣腸・剃毛・ME装着・会陰切開・分娩誘発)で、有意(P<0.01)に肯定的であった(仮説4の結果参照)。

 

 

 

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